中庭を囲んで暮らす平屋の木造住宅

坂の上の家/岐阜県多治見市（2008）

見晴らしが大変良い丘の上に建つ住宅。施主様は夫婦共に働いており日常は忙しい為、休日に子供達とゆっくり過ごせる家にしたいという要望が主であった。また、敷地条件としては隣地の三方を６軒の家に囲まれている為、プライバシーを保ちながら見晴らしの良い環境を活かすことが課題となった。

ゾーニングをおこない様々なパターンを検討する中で、プライバシーを確保する為には中庭を中心に部屋を配置するコートハウスが望ましいと考えるに至った。そして、全ての部屋が中庭に隣接できるように二つの中庭を設け、景色を楽しむ展望室のみを二階に配置した。これにより隣地からのプライバシーを保ちつつ生活の中心となるリビング・ダイニング・キッチン・玄関土間などは開口部を大きくとって内部と外部の繋がりを密接にする設計が可能となった。

また、日常の家事が追いつかない場合を考え、表の動線と裏の動線を完全に分けて急な来客があっても表の部分は常に整った状態で迎え入れる事ができるようにした。日当たりも風通しもよい中庭では周りの家を気にする事なくバーベキューを楽しみながら子供達が走りまわっている風景がある住宅になった。

写真・文：TAKANORI TOGO